身の回りの製品 [化粧品]


化粧品の成分表示について

化粧品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法)」(旧名称:薬事法)によって、全ての成分が容器や箱に表示されることが定められています。

表示方法は、厚生労働省通知「化粧品の全成分表示の表示方法等について」に基づいて、下記のとおり決められています。

  1. 1.成分の名称は、日本語で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用する。
  2. 2.成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については順不同に記載してもよい。
  3. 3.配合成分に付随する成分(不純物を含む)で、製品中にその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示する必要はない。
  4. 4.混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分ごとに記載する。
  5. 5.抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒または希釈溶媒を分けて記載する。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。
  6. 6.香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差し支えない。

化粧品の中には、薬用化粧品と呼ばれるものがあります。これは、美白などの効果をもつ有効成分が配合されたもので、医薬品医療機器等法では「化粧品」ではなく、「医薬部外品」に位置づけられます。


医薬部外品は、個々の製品ごとに有効性や安全性が審査され、厚生労働大臣の承認を得て製造販売されており、化粧品のように法律によって全成分表示が義務づけられていません。医薬部外品は、日本化粧品工業連合会の自主基準として全成分表示が行われています。


・具体的な表示方法→日本化粧品工業会「医薬部外品の成分表示に係る日本化粧品工業連合会の基本方針」
・表示に用いる成分名称リスト→日本化粧品工業会「医薬部外品の成分表示名称リスト」

 

化粧品の構成

化粧品は、洗浄用化粧品、化粧水、乳液やクリームなどのスキンケア用品、ファンデーション、口紅やアイメークなどのメイクアップ用品、シャンプー、トリートメントやヘアカラーなどのヘアケア用品、石けんなどのボディケア用品、歯磨き剤や香水など多岐にわたります。
それぞれの用途によって含まれる成分も異なります。そこで、ここでは、スキンケア用品の中から、化粧水、乳液・クリーム、日やけ止めについて、代表的な成分を整理します。主な構成をクリックすると、スキンケア用品に含まれる具体的な成分例を知ることができます。
化粧品に含まれる成分は非常に多く、日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示名称リスト」は1万2000種類を超えており、ここに掲載した成分例はごくわずかです。化粧品はすべての成分が表示されていますので、自分の肌に合わない成分、合う成分を確認する材料として活用することができ、化粧品を選ぶ際のひとつの目安になります。

 

 

化粧水 主な構成 役割
保湿剤 皮膚の角層(角質層)の水分量を長時間にわたり高める
pH調整剤 化粧品のpHを調整する
防腐剤 製品の外部から混入する微生物の増殖を抑える
界面活性剤 分散剤として使われる
その他 収れん剤、美白剤などが含まれる場合がある

乳液
クリーム
主な構成 役割
油剤 皮膚からの水分蒸発を防ぎ、皮膚に柔軟性と潤いを与える
保湿剤 皮膚の角層(角質層)の水分量を長時間にわたり高める
防腐剤 製品の外部から混入する微生物の増殖を抑える
界面活性剤 乳化剤として使われる
増粘剤 化粧品の粘度を調整する
キレート剤 金属イオンによる化粧品の変質を防ぐ
酸化防止剤 製品の酸化による品質の劣化を防ぐ
その他 美白剤、紫外線防止剤などが含まれる場合がある

日やけ止め 主な構成 役割
油剤 皮膚からの水分蒸発を防ぎ、皮膚に柔軟性と潤いを与える
紫外線防止剤 紫外線を吸収または乱反射させ、皮膚の紫外線照射を減じる
保湿剤 皮膚の角層(角質層)の水分量を長時間にわたり高める
防腐剤 製品の外部から混入する微生物の増殖を抑える
界面活性剤 乳化剤して使われる
増粘剤 化粧品の粘度を調整する
酸化防止剤 製品の酸化による品質の劣化を防ぐ
その他 美白剤などが含まれる場合がある

 

保湿剤

皮膚の水分を補ったり、皮膚からの水分蒸発を防ぎます。モイスチャライザーとも呼ばれます。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

分類
PG 57-55-6 多価アルコール類
BG 107-88-0 多価アルコール類
グリセリン 56-81-5 多価アルコール類
DPG 25265-71-8 多価アルコール類
トレハロース 99-20-7 糖類
ヒアルロン酸Na 9067-32-7 多糖類
尿素 57-13-6 天然保湿因子
エリスリトール 149-32-6 多価アルコール類
ペンチレングリコール 5343-92-0 多価アルコール類
1,2-ヘキサンジオール 6920-22-5 多価アルコール類
ソルビトール 50-70-4 多価アルコール類
マルチトール 585-88-6 多価アルコール類
PCA-Na 28874-51-3 天然保湿因子
乳酸Na 72-17-3 天然保湿因子
PEG○ 25322-68-3 他 多価アルコール類

 

油剤

油溶性の成分で、皮膚からの水分蒸発を防ぎ、皮膚に柔軟性と潤いを与えます。エモリエント剤とも呼ばれます。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

分類
イソノナン酸エチルヘキシル 70969-70-9 脂肪酸エステル
トリエチルヘキサノイン 7360-38-5 脂肪酸エステル
ミリスチン酸ミリスチル 3234-85-3 脂肪酸エステル
ミリスチルアルコール 112-72-1 高級アルコール
トリ(カルリル/カプリン酸)グリセリル 65381-09-1 脂肪酸エステル
ミネラルオイル 8042-47-5 炭化水素類
オリーブ油 8001-25-0 植物油
ラノリン 8006-54-0 動物油
セタノール 36653-82-4 高級アルコール
ステアリルアルコール 112-92-5 高級アルコール
ステアリン酸 57-11-4 脂肪酸
ミリスチン酸オクチルドデシル 22766-83-2 脂肪酸エステル
ジメチコン 63148-62-9 シリコーン油
ジフェニルジメチコン 63148-58-3 シリコーン油
ベヘニルアルコール 661-19-8 高級アルコール
セテアリルアルコール 8005-44-5 高級アルコール
スクワラン 111-01-3 炭化水素類

 

紫外線防止剤

紫外線を吸収または乱反射させ、皮膚の紫外線照射を少なくします。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

分類
オキシベンゾン-3 131-57-7 紫外線吸収剤
オクトクリレン 6197-30-4 紫外線吸収剤
ホモサレート 118-56-9 紫外線吸収剤
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(旧表示名称:メトキシケイヒ酸オクチル) 5466-77-3 紫外線吸収剤
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン 70356-09-1 紫外線吸収剤
酸化チタン 13463-67-7 紫外線散乱剤
酸化亜鉛 1314-13-2 紫外線散乱剤

 

pH調整剤

化粧品のpHを調整します。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

分類
AMP 124-68-5 アルカリ剤
TEA 102-71-6 アルカリ剤
水酸化NA 1310-73-2 アルカリ剤
水酸化K 1310-58-3 アルカリ剤
クエン酸 77-92-9 酸剤
乳酸 598-82-3 酸剤
グリコール酸 79-14-1 酸剤

 

防腐剤

製品の外部から混入する微生物の増殖を抑え、微生物による製品の劣化を防ぎます。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

安息香酸 65-85-0
安息香酸Na 532-32-1
グルコン酸クロルヘキシジン 18472-51-0
ソルビン酸 110-44-1
ソルビン酸K 24634-61-5
デヒドロ酢酸Na 4418-26-2
パラベン メチルパラベン 99-76-3
エチルパラベン 120-47-8
プロピルパラベン 94-13-3
イソプロピルパラベン 4191-73-5
ブチルパラベン 94-26-8
イソブチルパラベン 4247-02-3
ベンジルパラベン 94-18-8
ヒノキチオール 499-44-5
フェノキシエタノール 122-99-6

 

増粘剤

化粧品の粘度を調整し、滑らかさなどの使用感をコントロールします。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

キサンタンガム 11138-66-2
セルロースガム 9004-32-4
カルボマー 9007-20-9
PVP 9003-39-8
ポリアクリル酸Na 9003-04-7

 

キレート剤

微量の金属イオンが混入すると化粧品の変質を促進する場合があります。キレート剤は、金属イオンと強く結合して金属イオンの働きを封鎖して、化粧品の変質を防ぎます。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

EDTA-2Na 139-33-3
EDTA-3Na 150-38-9
EDTA-4Na 64-02-8

 

酸化防止剤

化粧品には空気に触れて酸化されやすい成分が使われています。成分が酸化されると悪臭発生や皮膚刺激の原因になる可能性があり、製品の酸化による品質の劣化を防ぐために酸化防止剤が使われます。

成分例
表示名称 CAS RN®

説明 「CAS Registry Number®」あるいは「CAS 登録番号 (CAS RN®)」とも呼ばれます。これは、アメリカ化学会の一機関であるCAS(Chemical Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号です。化学物質には、体系名、一般名、慣用名など複数の名称が存在しますが、この番号によって当該化学物質を特定できることから、各種データベース、研究論文、製品カタログなどに掲載され、世界的に広く利用されています。

BHA 25013-16-5
トコフェロール 10191-41-0
アスコルビン酸 50-81-7
BHT 128-37-0
没食子酸プロピル 121-79-9

 

界面活性剤

基礎化粧品では、界面活性剤は乳化剤や可溶化剤として使われます。
乳化と可溶化については、日本化粧品工業会「水と油が仲良く同居―乳化と可溶化」に説明があります。
化粧品の中でも、シャンプーや洗顔料は洗浄力をもつ陰イオン界面活性剤が主に使用されますが、化粧水や乳液では洗浄力は必要なく、ほとんどの場合、非イオン界面活性剤が使用されています。

成分例
表示名称 分類
ステアリン酸グリセリル 11099-07-3 他 脂肪酸系
オレイン酸グリセリル 25496-72-4 他 脂肪酸系
ステアリン酸ソルビタン 1338-41-6 他 脂肪酸系
オレイン酸ソルビタン 1338-43-8 他 脂肪酸系
ラウレス-○ 9002-92-0 他 ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)系
○は酸化エチレンの重合度(何個つながっているか)を示す数字が入ります
ステアレス-○ 9005-00-9 他 ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)系
○は酸化エチレンの重合度(何個つながっているか)を示す数字が入ります
パレス-○ 9002-92-0 他 ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)系
○は酸化エチレンの重合度(何個つながっているか)を示す数字が入ります
ステアリン酸PEG-○ 9004-99-3 ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系
○は酸化エチレンの重合度(何個つながっているか)を示す数字が入ります
ラウリン酸PEG-○ 9004-81-3 ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系
○は酸化エチレンの重合度(何個つながっているか)を示す数字が入ります
ポリソルベート○ 9005-64-5 ソルビタン脂肪酸エステル系
ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを約 20 分子結合したもの。○は使われる脂肪酸(ラウリン酸、ステアリン酸など)の種類を示します。

役立つ情報

(独)製品評価技術基盤機構
「身の回りの製品に含まれる化学物質」
日本化粧品工業会「一般の皆さまへ」